1998年5月(3) ~旧刀月記より2009/03/10 00:36

タイラップの刑
はじめから付いていた埋め込み式のウインカーは、
何故か左右で取り付け位置の高さが違っていた。
 
とてもまぬけだ。
 
いったいどんだけいい加減な人間が着けたら、
こんな情けないことになるのか、僕にはわからない。
 
おまけに接触が悪く、
スイッチをぐっと押し込んでやらないと反応しない。
灯けたつもりで灯いていないことがあり、
ふつうに危ない。
 
そこで、某○海部品が販売する
シビックタイプと呼ばれるウインカーを注文した。
値段は3,000円で、バルブは二灯式。
刀のカウルの裏側には、接続されていない配線がいくつか遊んでいて、
上手いこと繋げれば、ポジションランプを使用することができる。
埋め込み式ウインカーの場合、
車幅より内側でポジションが灯るのであまり意味はないが、
あるとなれば使いたくなるのが性とゆうもの。
 
スズキの考えることもよくわからない。
 
わざわざ配線まで用意しておきながら、
何故最初からポジションランプが標準じゃないんだ。
 
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バイク屋にドリルを借りて、ウインカーの取り付けにかかる。
でもドリルなんて触ったことがない。
カウルの表面は滑るので、ガムテープで穴を開ける位置を決めてから
作業を行うといいと教えて貰った。
 
超~緊張しながらカウルに穴を開け、ベースを固定。
ポジション用の配線があるのは知っていたが、
行き先のない配線は5本くらい余っていて、どれがどれだかさっぱりだ。
試行錯誤を繰り返し、結局、
目当ての配線を見つけるのに2時間以上もかかった。
(こちらはど素人だし、一応客なんだから、
頼まなくてもバイク屋のほうでやってくれよと少しばかり思う)
 
ところが、やっとのことで交換した新品のウインカーが、
帰りのR357で灯かなくなってしまう。
 
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ウインカーが点滅したままの状態でカウルを外す。
カウルを前に傾けると、消える。後ろに傾けると、再び点滅しはじめる。
 
 
Oh! my God!
ださい、ださすぎる、何というだささだ。
 
 
嘆いても誰も聞いてない。
 
どうやら電極を押し付ける部分の精度と言うか
仕上げが悪いことによる接触不良が原因のようだ。
やすりで修正し、タイラップでバルブをソケットに無理やり押し付ける。
今度は傾けても平気。
 
 
…と思ったら、まだ時々勝手に消える。なんだこりゃ。
 
他にも接触不良があるのか思ってがっくりしたが、
後になって、カタナのウインカーには、
『オートキャンセル機構』なるものが備わっていることを知る。
時速15km以上でウインカースイッチをオンにした時に、
10~15秒以内に自動的にウインカーをキャンセルするというものだ。
 
当時としては、最新のテクノロジーだったらしい。ふうん。
そんな大げしいものでもない気がするんだけど。

1998年5月(2) ~旧刀月記より2009/03/10 00:33

刀で初のツーリング。
 
R246から、湘南バイパスを淡々と走り、箱根へ向かう。
刀は初めてじゃない。
何年か前に友人の所有していたマシンに載せて貰ったことがある。
そういえばこんな感じだった。
 
やる気のないブレーキ。
常に存在感を訴えてくるエンジン。
遠いハンドル。重くゆったりした挙動。
ありえない振動。

どこか憎めない乗り味。
 
相変わらず安定感はゼロで、巡航は100kmがやっと。
日焼けして色褪せたスピードメーターは、240kmまで数字を刻んでいる。
こんなバイクで200kmなんて出せるかよ。
 
ワインディングに入る。
バイクを少しでも寝かせると、ハンドルがぐにゃっと切れ込んでコケそうになる。
ペースを上げようとすると、ぐらぐらと車体が揺れる。
身体が硬直し、フロントはどんどんアウトに孕んでいく。
 
でも、恐怖感はそれほどない。
乗り手が下手なぶん、安全マージンは保っているし、
バイクの感触がわかりやすいから、それなりにコントロールはできる。
 
 
ただし、途轍もなく遅い。
 
 
後ろから追いついてきたセローに軽く千切られる。
当然だ。このペースなら僕の下駄バイクであるDT50でもついていける。
 
こんなのは本来の刀の操安じゃないと思う。
やばい挙動の原因はいくつか見当がついているから、
ひとつづつ良くしていけばいい。
 
5月になってもまだ雪を被っている富士山を見ながら、
茫洋とそんなことを考えた。

1998年5月(1) ~旧刀月記より2009/03/10 00:27

インターネットで、刀オーナーの集うML(メーリングリスト)を見つけた。
 
管理者のTさんに登録依頼のメールを送ると、
程なく登録完了の知らせが返ってきて、
受信メールの中にちらほらとkatana MLのメールが混じるようになった。
(※注)このMLは2009年現在、閉鎖されています。
 
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簡単な自己紹介メールを送った後、
フロントカウルから発生する音について訪ねてみた。
刀は、4,000rpm前後をキープして走ると、
カウルが共振して「びいいいい。」と鳴る。
これが控えめに言って、結構、かなり、相当に不快なのだ。
 
果たして、反響は大きかった。
同じ症状を抱える人が、次から次へと自らの経験を語ってくれた。
 
でも、みんな症状がばらばらで原因が特定できない。
何故か集合管にして直ったという人もいる。
埋め込み式のウインカーが良くないという人もいた。
発生しない車もある。
この症状は、国内仕様も輸出仕様も関係なく出るようだ。
 
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とりあえずの防振対策として、
ホームセンターで買ってきたウレタンゴムをカウルとステーの間に噛ませ、
固定用のボルトには、樹脂製のワッシャを使用した。
これで幾らかは「びいいいい。」が収まったような気がする。
 
…気がするというのは、ただ慣れてしまっただけなのかもしれないから。

1998年4月(4) ~旧刀月記より2009/02/13 23:51

ピストンリングを入れ替えたのだから、
中古とはいっても馴らしはもう一度やらなければならない。
 
そう思って、回転の上限を4,000rpmに定める。
しかし、余計な心配は無用だった。
こんなバイクでとてもじゃないけれどスピードなんて出せやしない。
 
ギャップを拾う度にハンドルをとられ、車体が振られる。
ブレーキのタッチはぐんにゃりしていてやる気が全く感じられない。
O/Hしたエンジンだけは比較的元気で、勢い良く突進しようとするものの、
音の割にたいして前に進んでない。
 
緊張しつつ速度計を見ればやっぱりせいぜい80kmだ。
おまけに、定めた上限の4,000rpm付近ではフロントカウルが共振して、
「びいいいい」とおかしな音を立てる。
 
この造りの安っぽさにはちょっと情けなくなった。
 
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次の朝、バイクの下に水が滴っているのを発見。
 
空冷エンジンだから、水なんて入ってない。
調べてみると、原因はフレームだった。
 
刀のフレームは、スイングアームピボットの部分が袋になっていて、
その中に水が溜まってしまうらしい。
 
この分じゃフレームの内側も相当に錆びている筈だ。
とりあえず水ならそのうち蒸発するだろう。
たぶん大丈夫だと自分に言い聞かせておく。
 
どうにもならないことを心配したって、
神経の無駄遣いだからね。

1998年4月(3) ~旧刀月記より2009/02/13 23:43

翌週、刀を取りに行くと、(初めて会う)バイク屋の社長から、
店長が辞めたと聞かされ驚く。
 
詳しいことははわからないが、どうやら二人のけんかが原因らしい。
 
幸いにも、店長は店を離れる前に刀を殆ど仕上げてくれていた。
エンジンを組み直し、キャブレターをオーバーホールし、
リヤタイヤとチェーンは新品に、
社外の物に換えられていたリアのウインカーはノーマルに戻してあった。
 
壊れたハンドルロックもきちんとかかるようになっていた。
フロントブレーキのマスタシリンダは、別のお客さんから譲ってもらった
アニバーサリーモデルのものに換えられていた。
 
シートとホイールも、(初めの状態を考えれば)かなりきれいに掃除してあった。
塗装の禿げていたトップブリッジは缶スプレーのつや消し黒で塗られていた。
 
そして僕の住む習志野ナンバーが付いていた。
 
ようやく納車だ。
ずいぶんと時間がかかった気がするよ。やれやれ。